「・・・ねぇ、本当に今回紹介するのって、『てけてけ』なの?」
え、そうだけれど、何か不味い?
「だから、今回紹介するのは美人設定のある都市伝説の怪異なのよね?あなたの趣味の欠損系じゃなくて。」
私にそんな趣味は無いよ!?なにいきなし捏造してんのさ??
とも、『てけてけ』さんは由緒正しい美人設定のある怪異さんやし。なんでそんなこときくんね。(・_・;)
「私のもってる『てけてけ』のイメージと全然結びつかないのよね。正直、クリーチャー染みた絵しか思い浮かばないの。」
多分、学校の怪談っていう映画の影響じゃないかな。うちらが子供のとき宣伝やってた。あれだとたしか猿っぽいクリーチャーだったし。でも、基本的に『てけてけ』は事故とかで下半身を失った女の人だから、そんなに怪物な外見はしてないはずなんよ。
「猿・・・じゃないわね。たしか昆虫然とした容姿で、火を吹いて宇宙を飛んでいた気がするわ。」
ええっと・・・ザクレロ?
気を取り直して、『てけてけ』の説明なんだけど、先に断っておく必要があります。『てけてけの話はブレがけっこう大きいです』
「ブレ、というと大量の改変があるということかしら。」
まぁそういうことなんだけど…よく似た別の都市伝説『カシマさん』があることと、遭遇方法に大きくばらつきがあることがあって、複雑なんだよね。
「『カシマさん』とやらとは何が違うの?」
『てけてけ』はどのバージョンも容姿が確定してる、っていうことが大きく違うのかな。ただ、似てる怪談って混ぜられやすいから、『カシマさん』の別名が『テケテケ』だったり、『テケテケ』の元になった人が『カシマレイコ』だっていう話があったり。。
「・・・複雑なのね。」
うん。複雑。だから、今回は『カシマさん』とは割と違う、美人設定がある内容のものを話すね。じゃあ―
『友達の友達から聞いた話なんだけど・・・』
『何かに没頭してたあとで、気がついたら、見える範囲に人が居なかった、っていう経験無いかな?』
『小学生のときに友人から聞いた話なんだけど。彼、大抵の運動は得意だったんだけど、鉄棒だけは苦手だったんだ。』
『でも、友人は負けず嫌いでね。その日も夕方遅くまで一人で練習してたんだよ。で、ふと気付いたら校庭に誰もいなくって、日も大分傾いてたわけ。』
『ちょっと心細くなって校舎のほうをみてみると、3Fの廊下の窓から、窓枠に肘付いて、こっちを見てる可愛い女の子と目が合ったの。』
『そしたら彼女、にっこり笑って手を振ってくれるの。嬉しくなって手を振り返したら、彼女が、「今からそっちに行ってもいい?」って聞いたの』
『可愛い子にそんなこと言われたわけだから、嬉しいわけだよね。もちろんって友人は答えたのそしたら彼女がよいしょ、って感じで窓枠に手を着いたんだけど。。』
『窓枠に隠れていて見えなかったけれど、彼女、上半身だけで胴体が無かったの。』
『しかも、その格好で、可憐な笑顔を浮かべながら、空中を「てけ・・・てけ・・・」って、一直線に手を使って歩いて来たんだ・・・』
「あら、オチは無いの?」
あったりなかったり。ブレが大きいから仕方ないってことにしといて。トンカラトンと混ざったのもあるけど、それはまた別のお話。
「一見安全、美しいものが異質な何かに変貌して襲ってくるというのが不気味ね。笑いながら、というのも・・・」
え?かわいいこがこっちに笑顔でくるんだよ?ラッキーイベント以外の何者でもなくない?
「いえ、だから、胴体がなくって、しかも空中を飛んでくるのよ?」
ただの上半身だけ属性だよね?半獣萌えとかケモ萌えとかあるんだから、ほとんど人間でしかも公式に美少女設定のてけてけさんが萌えないはずがないじゃないか!
「上半身だけ属性、って・・・」
多少不謹慎かもしれないけどチャームポイントが増えただけじゃないか。むしろウェルカム、大歓迎なイベントだよ!
「かわいければなんでもいいのかしら。」
かわいいはせいぎらしいよ?それに、このバージョンだと特に危害を加える描写が無いしね。単に可愛いてけてけさんとお近づきになれました、というだけの話じゃないか。
「納得がいかないのは私だけ?」
大丈夫、ヒロインは空から降ってくるものだよ!
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