うん。手法とかなんとか一切無し。どうせ全員素人だから、書けばとりあえずましになるだろ、っていう感じなのかな?ともかく書いて提出して読んで評価するだけ、みたいな。
「ずいぶんとフリーダムね。いいのかしら、そんなので単位を出して。」
手を挙げて発表するだけで点数が増える授業も(専門科目なのに)あるからいいんじゃないの?ともかく、提出した文章は先生側で篩われて、授業中に読まれるのは一部なんよ。
「つまり篩で落ちたのね。そしてこのカテゴリってことは、その駄文を乗っけるつもりなのね。ここのところ更新できていなかったからすでにある文章でお茶を濁そうってわけね。」
……あれ、私の言うべきセリフがもう残ってなくない?
えーっと、今回のお題は「道」。お題はどう曲解しても可。本来はB5の用紙に縦書きのはずだけど、私はレイアウトはあまり意識せずに書いてるから特に無問題なはず。というわけで。
『!』
曲がり角の手前に、見慣れない標識が立っていた。見慣れないというのは昨日までこんなところにこんなものはなかったという意味であって、この標識の意味は知っているということであって。そう、確か、『その他の危険』というのだ。先輩は何か別のことを言っていた気がするがよく覚えていないしどうでもよい。まぁ、どんなその他があるにせよ歩行者である私に危害はないであろうと思い角を曲がったその時に目の前から甲高い声が聞こえた。
「うわわっ、どいてください~っ!」
眼前には食パンを咥えた女子高生ご丁寧なことに寝癖までついている系。私は言われたとおりに華麗なる逆ビジステップで彼女を躱す。鮮やかなる登校の一コマ。なるほどね、見通しが悪いから気をつけろということ。対応する標識が存在したような気がするが私には関係ないし背後からなぜか恨めし気な視線を感じるが私には関係ない。
前方には10m間隔で同じ標識が見える。たった一晩でずいぶんとデンジャラスな道にエヴォリューションすなわち日常には危険がいっぱいだ。。
そのまま私は様々なものを華麗に躱す。たい焼きを咥えた少女お魚くわえたどら猫を追いかける主婦ゴミ捨て場の人型ロボテレビから出てくる長髪の人物目の前でズッコケる女子校生落としたメガネを探す女性赤いロングコートにマスクの美人紫の髪の少女ウィズ長身道化師エトセトラエトセトラ、いったいどういう危険なんだか考えるだけで面倒だが、おそらく泥棒注意野良猫注意不法投棄注意天然痘注意物理法則無視注意器物破損注意整形失敗注意黒鎌注意エトセトラといったところだろう。
漸くこれで最後の標識か。落石注意の標識の下にビックリマークが二つあるのを認識した私は、アレルヤとっさの天啓によって体を軽く捻る。入れ違うように先ほど私が立っていたところに美少女が落下してきた。ふるふる降ってくる。ここまで続くと鈍い私でもある可能性を、実はこの標識の示すその他の危険が女難である可能性を考えなくてはいけないが、その可能性は考えている今この瞬間に潰えた。少女が『!』の形をした石に潰されている。隕石、いや、どこから落ちたかは知らないが標識通りに落石なのだろうが不幸なことにパロディなグラディでないこの世界では『!』はバウンドしなかったらしい。ともかくこれで混沌は終了だ。はてさて時間を食ってしまった。学校へ急がなければ。
『―ということがあったのですよ。』放課後、私は先輩に今朝の出来事を話す。
「キミは……相変わらずだな。体質というべきか、自覚がない分性質が悪い。何が不味いって、すべて躱してしまったことが不味いのだよ。」
『藪から棒になんですか。』当然、私は抗議する。『体質とはまさか女難のことですか、私にはそんなアブノーマルな属性ありません。』
「いや、『気づいてるのでしょう?』やら『もしかしてこんな感じでしたか?』やらのことだよ。認識していることがばれてしまうことが問題なのだ。あの標識の意味は以前にも話した通りだよ。キミなら見えるだろう。少なくとも僕には見えない。」
『!』
「で、何か弁解もしくは言い残すことはあって?」
ふふふ、今の私は無敵だから意味もなく全部を解説するよ!
「あとで頭抱えても知らないわよ…。あら、その前に。最初に言わなくちゃいけないことがあるわよね。ほら、先生の添削でだめだしされた部分。『最後の二行の意味が分からない。』…単純に標識の意味を書けばいいだけだったわよね。」
蛇足だと思ったんだけどなー。『!』の意味は、都市伝説だけど『幽霊注意』なんだよ。、『気づいてるのでしょう?』は霊感のある人が幽霊を見ちゃってヤバい、と思ってスルーしようとしたらすれ違いざまにそう言われたっていう怪談で、『もしかしてこんな感じでしたか?』はまんまのっぺらぼうのつもりだったんだけど。つまりは幽霊オチ。
「どう考えても通じないと思うわ。」
そういうわけでネタの話ー。ぶっちゃけ真面目な話が書けないのですべてギャグだよ!悪かったな!
「だったらオチもギャグで締めなさいよ。だいたい、『よくわからないけれどネタっぽいことが羅列されているというネタ』なんだから、個別に解説しても蛇足じゃない。」
まま。そういうわけで蛇足なネタ解説。
『食パン咥えた少女』
もはや様式美。ベタな出会い。今時ネタでしか見かけない。
『逆ビジステップ。』
DDRでの→↓←↓→みたいなステップ。踏むと楽しい。この単語が書きたかっただけという噂も。
『デンジャラスな…』
ルー語なつもりだけどまあどっちでもいいいや。
『たいやき咥えた少女』
うぐぅ。
『お魚くわえた』
ご存じ、じゃんけんの強い人。
『ゴミ捨て場の』
よくある展開その2。カルネヴァーレのつもりだったけど、よく考えたらゴミ捨て場じゃなかった気も。だったらちぃになるのかな。
『テレビから出てくる』
うぅーきっとくるー。3D化おめでとう!貞子さんマジ美人。
『目の前でズッコケる』
次の瞬間、謎のぶつかり方をするので注意。トラブル的に。
『メガネを探す』
うー、メガネメガネ。
『赤いロングコートにマスクの美人』
べっこう飴が好き、ポマードが嫌い。100mを3秒で走る。ワタシ、キレイ?
『紫の髪のwith』
ソウカナ、ソウダネ、ソウトモサ!ゆかちゃんwith魔人ゴア。ネタとして成立しているのか不明。
『おそらく泥棒注意…』
前述のものに対応。分かりにくそうなのだけ挙げると、貞子=天然痘ウィルスと共存、明らかに物理法則を無視してぶつかる、黒鎌=単純に会社の名前、みたいな。
『ふるふる、ふってくる』
空から女の子いっぱーい♪
もとい、よくある展開。
『!の形をした石』
パロディウスであったネタ。落石注意で岩が落ちてきて、次にその他の危険で!が落ちてきてしかもバウンドする。さすがコナミ。
『そんなアブノーマルな』
言及していない気がするので一応書いておくと、主人公は女性、のつもり。どうも霊感があるっぽい。
『!』
その他の危険、もとい幽霊注意。幽霊オチ。オチとしてどうなんだ。
主人公は『躱さなくても実は当たらないにも関わらず全てを躱してしまった』ために、今日遭遇した幽霊全てに『見えている』と認識されてしまったことになる。帰りは同じ道を通らないほうがいいかも。
こんな感じ?
「やっぱり、オチが弱いわ。ギャグならば最後まで全力疾走すべきよ。っていうか解説長すぎ。大体、肝心の(つもりの)最後のオチに、解説が3行必要だなんて、明らかにオチとして適さないじゃない。」
趣味な怪談成分を盛り込んだのが悪かったかなぁ。調子に乗って4つくらい入れてるし。次こそは何とかしよう、まる。
…でも、次のお題って花なんだよね。花っぽい怪談あったっけ。
「だから、怪談から離れなさいよ。」
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