夏は嫌いです、暑さの所為で眠くなるから。
「年中寝てるじゃないの。」
まぁ、茶番はこれくらいにして……ちょっといま、詰んでます。
「ゲームのこと?」
違うよ、(確かにゲームも詰んでるけど、)文章書く授業で出さなきゃいけないのが遅々として進んでなくって……
「前々から疑問に思っていたのだけど、その『文章を書く授業』ってなんなのかしら?」
ん、まんまだよ?毎回お題が出されて、次の授業までにお題に沿った文章を書いて出す、っていう授業。制限は『お題に沿っていること』と『B5用紙に収まること』、あとは『文字だけをつかうこと(イラスト、カラー禁止)』程度で、割とフリーダム。
「文章って、内容はどんなものを書くの?」
んー、それも自由。詩でも(短編)小説でも文字の羅列でも新聞の社説みたいのでもなんでもあり。要は文章力向上という名目の上にポエ……もとい、自作小説を書きましょう、っていう授業。
「変な授業ね……遊びに近いっていうか、単位として成立してるのかしら、それ。」
大学が大学だからなぁ。国社方面の単位は割とフリーダムな授業が揃ってるんよ。
「まぁ、状況は大体わかったわ。何かのお題に沿って、B5に……ということは頑張って1500文字制限かしら?それがうまくかけなくて悩んでいるのね。」
うん、そういうこと。
「それで、一体どうして……どこに悩んでいるのかしら。お題が突拍子が無かったりするの?」
いや、お題はそこまで変じゃないんだけど……そのお題から連想して、うっかり『怪談』書こうと思っちゃってさ。全然筆が進まなくて悩んでるんだよ、これが。
「怪談って、そこまで難しいのかしら?とりあえず幽霊でもいればいいんじゃないの?」
甘い、甘いよ、ベリースゥィートだよ!実体験系なら、臨場感さえ伝われば多少の既視感は許されるけど……ちゃんとした怪談を新たに考えるのはなんていうかもう無理無駄無謀。
「あきらめたらそこで試合は終了よ?」
そうなんだけどさー。怪談の基本パターンで
・日常と同じと思ったら実はどう考えてもおかしい
・日常を少し逸脱した何か
みたいなのがあるんだよ。前者だと『トンネルの中で雨が降っていた』とか『星を見る少女』、後者だと『いわゆる妖怪系怪異系の怪談』や『赤い目の女』みたいな。えっと、言い直すとこうかな。
・日常に普通にあり得るような描写が描かれるが、よくよく考えるとどう考えてもおかしい事象が起きている
・日常のルールを逸脱した何かの話
大抵、(もっとあるかもだけど、)怪談ってこういうタイプに入ることが多いんだよ。
「薀蓄はわかったけれど、それがどうしてあきらめることにつながるのかしら。」
つまり、どっちかで書こうにも、前者はネタが思いつきにくくてネタが枯渇気味、後者はそれこそ本気で新しい都市伝説をつくる能力が必要なんだよ……一週間で思いつくか!
「お題は先月のうちにわかっていたのでしょう?自業自得じゃない。」
うぅ…まぁ、そうなんだけど…
あと、説明過多だと興ざめするとか、説明不足だと初見じゃわかんないとか、怪談のテンプレってあるんだけど、やりすぎるとただのテンプレになるだとか……
「はいはい、自業自得自業自得……ところで、さっきから気になっていたのだけど、いいかしら?」
ん?どったの?
「ええっと……
あなたの背後にいるの、どちら様?」
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