なーんかタイトルの語感がわるいなぁ。
「ともかく、今回は業の話をするわね。」
ちょいまち、業ってなんだよ業って。まさか輪廻とかそういう系の話をし始めるんじゃなかろうね。
「アンタじゃないんだからオカルティックでスピリチュアな話なんてしないわよ。」
私が好きなのはスピリタスじゃなくて都市伝説と妖怪みたいな伝承だ!別に仏教的キリスト教的世界観を信じてるわけじゃないさ。
……で、じゃあなんなんだよ。言葉を普通と違うように使うのだったらまずは定義を述べるように論説文で習わなかったか。
「単刀直入に言うとエロスね。性癖といったほうが分かり易いかしら。」
・・・・・・
「どうしたの?急に黙り込んで。」
いや、私がそういう話、苦手なの知っててわざとやってるのかな?
「苦手なら避けていいことにならないし、苦手と嫌いは違うと思うけれど。大体、そうだと思って態々『業』って言い換えたんじゃない。(もちろん、言い換えた理由はこちらの方がより私が説明したい実態を表しているからですけれど。)」
好きで苦手ってどういう状況だよ。まぁいいや、それで、業の話をしたいみたいだけど、業がどうしたんだい。
「業は必要悪……もとい、必要だと主張したいわ。」
誰にとって、もしくはどこにとって!?
「いろいろあるけれど……今回は漫研部員らしく漫画を描くこと、に絞ろうかしら。単刀直入にいうと、『漫研に入って漫画描いたことなくて何を描いたらいいかわからない人はエロ同人を出すことが最良の選択肢』よ。」
業どこ行った!?てか、なんだその主張ー!?
「何よ。物事には目標を持って取り組んだ方がいい、当面の目標が見当たらないなら何でもいいから手近な興味があることを目標にすればいい―と主張しただけじゃない。」
何処をどう間違えたらそう解釈できるんだ。
「逐一説明しなきゃだめなの?本当錆びついた脳みそね……耳の穴貫通させてよく聞きなさい。」
「まず、漫画を描くことに興味を持って漫研に入った、という前提で話を進めるわね。漫画やアニメ、ゲームに興味があって入ったのなら、多少なりとも理想の萌えのようなものがあるでしょうから、それを表現できたら、みたいな願望があるという仮定は、まぁ妥当でしょう。(とにかくオタク系のサークルに入ってみたい、なんて理由でも、そのうち―業が深まるにつれ―その願望は出ると思うわ。もっとも、うちは最初から濃い人が入るパターンが多いみたいだけどね。)今回は『全自動卓があるから入部した』とか『鍋を食べたらそのまま居ついてた』とかいう例外は除くわね。」
まぁ、うちの大学はサブカルなサークルがなぜか結構あるから、その前提でいいのかな……?そういう趣味の人は、そもそも学科によっては掃いて捨てるほどいるだろうから、普通の同好の士を探すだけならそもそもサークルに所属する必要が無いし。
「アナタ、態々婉曲に言うの辞めたら?普通に『オタクなサークル』『オタ友』って言えばいいじゃない。」
「ともかく、『今まで書いたことないけど漫画を描くことに興味があって入部した』場合、何を描くか、って悩みどころだと思うの。そりゃあ、『○○の全年齢向け二次創作を描きたい』とか『オリジナルのストーリー漫画を描きたい』とかそういった目的があるに越したことはないわよ?でも、これらを目的にするって、既になにかしら『私はこれを描きたいんだ』っていうものの骨子がないと難しいと思うの。『描きたいものがないなら描かなきゃいい』っていう主張もあり得るけれど、?ちょっと興味持ってる初心者が、あらかじめ描きたいストーリを持ってろって、ちょっと無茶じゃない?そして、そんな主張のせいで、折角漫研に入ったのに、その興味の芽が潰えるのって勿体なくないかしら。折角入ったのだから、漫画を描いた方が楽しいわよね。きっかけの芽を摘んじゃうのは勿体ないわ。」
「そこで、そのきっかけになりうる最大でポピュラーなものが業、つまりエロスだと私は主張したいの。」
ちょいまち、ちょっと流れを切るけど質問していいかな?
「非常にイラつくけど許可するわ。手短になさい。」
(えぇーっ。なんでこんな扱いなの?)
目的が無いけど、とりあえず描いてみるとか、練習してみるっていうのはダメなの?
「三つくらいの理由によってお勧めしないわね。『モチベーションが続かない』『上達速度、到達範囲が違う』『意味がない』かしら。まぁ、これらは何れも『とりあえず絵が上手くなりたい』に対する反論と言ってもいいかもしれないわね。」
一つ目は何となくわかるけど……あとは?
「後二つは、大体一緒なことを言ってるのよね。何事にも(絵に限らないわ。数学やらの問題だってそうでしょう。)実際にやってみようとしないと気付けないことってあるのよ。だから、よくわからないけど『絵の練習』(ひたすら紙に人の絵でも描くのかしらね。もちろん、それ自体は大事なことなのですけど。)とやらをやっても漫画を描けるようにはならないわ。『絵をとりあえず練習する』で気づけることと『実際に漫画を描いてみる』で気づけることの範囲が違うし、多いのですもの。だから、実際に描いてみた場合に比べて当然『上達速度と範囲が違う』わ。それに、何に使うか決めてない『上手な絵』ってなんなのよ。基準があるから上手下手があるのでしょう?漫画に使う技術とアニメに使う技術とゲームやらの原画に使う技術は違うのだから、目標を設定しない練習なんて『意味がない』わ。そんなに『絵がうまい』になりたいんだったら筆記で無理やり受かって美大でも行ってなさい。」
美大ってセンターだけで入れたっけ?
「ともかく、話を切られたけれども元に戻すわね。つまり切っ掛けはエロスよ。」
なんかその表現違和感あるなぁ。
「うっさいわね、アンタの感覚なんか知ったこっちゃないわ。
つまるところ、壮大な目標やら表現したい何かやらが無いなら、あるものをひねり出してさらけ出せばいいのよ。十何年もいきてりゃ妄想の1つや二つや六つや那由多あるでしょう?それを紙面に写像すればいいの。てきとーに取り繕って考え出したお話なんかよりも、ちゃんとした衝動があるんだから伝わる人には伝わるわ。一旦描いてしまえば、そこで学ぶこともあるでしょうし、もっと質をあげたいという欲も出てくるはずよ。漫画というものを描いてみる切っ掛けとして、最良と思わない?」
いや…やっぱり、普通に漫画を考えて描いてみる、じゃだめなの?
「アナタ、話聞いてないの?それじゃハードルが高いって言ってるんじゃない。『興味があるだけの(下手したら絵を描いたことのないかもしれない)初心者が漫画を描くきっかけにする』という一点に絞って考えた場合、『オリジナルのストーリー漫画を描く』は非常にハードルが高いわ。だって、『ストーリーを考える』『構成を考える』『台詞を考える』『コマ割りを考える』これらを全て(ええと、ほんとはもっとあるのかしら?)しなきゃいけないのよ?けれども、『エロい漫画を描いてみる』だったら、『ストーリー』『台詞』『構成』はすでに己が内に秘めたもの、つまり業としてあるじゃない。最悪構成とコマ割に関しては無視すりゃいいわ。兎も角、『エロを描く』なら業に従って描写するだけで何かできる、描かれた結果が残るのよ。『オリジナルでストーリー漫画を描く』をしようとすると、従うものが内に無いから、難しいし尻込みするし挫折するのよ。全く持って難易度が違うわ。」
その業が無い可能性とか場合とかについては……
「別に成人向けな描写が無くても、なにかしらドキドキしたりキュン死したりするような妄想シチュくらい持ってるでしょう。個人的にはエロ以上に(以上に、というのは不適当かしら。べつにエロは黒歴史じゃないでしょうし。)黒歴史になりかねないからおすすめしないけど。自分(もしくは自分を仮託した)主人公の恋愛妄想漫画なんて直視できる自身が無いわ。……さすがにその程度の業すら無いとは言わないわよね?私、敵を積極的に作りたいわけじゃないから人格否定的な発言はしたくないのだけれど、其れすら一ミリも考えたことが無いって、何を感じて生きてるのかしら。」
そろそろ飽きたのでまとめてくださーい。
「纏め?そうね……『初めてだとかやり方が分かんないとかつべこべ言わずに(腹とか脳内とかに)溜まってるもの(業)をさっさと(紙面上に)出しちゃいなさい』ってことかしら。なんにせよ、切っ掛けとして最適と思うし、一度描けばそこから思うことはいろいろとあるはずよ。ついでに言うと、うちはなんか業の深い人が多いから、歓談するきっかけにもなりやすいのよね。」
さて、落ちはどうつけようか。
「どうして真面目な話をしてるのに落ちを着ける必要があるのよ……ところで紬、漫画も描かないのに漫画論を展開する先輩がいたら、非常にうざったいと思わない?自分がしないことを人に勧める先輩って、殺意を覚えるわよね?」
こういうのってノリツッコミに入るのかなぁ。
「最後に、付け足しというか逃げ口上ね。」
「今回の記事はエロが低俗だとかそういうことを主張するつもりは一切ありません。文中に『簡単』みたいな表現があったかと思いますが、それはエロ展開を貶めるつもりで書いたわけではなく、(実際、突き詰めれば非常に難しく奥が深いのだと思います。だから業という言葉を使ったのですけれど……)いきなりオリジナルで物語を1つ作れ、といわれるよりはえっちい物語を1つ作れと言われた方が(人によってはそちらの方が身近な可能性も高いですし)構成をなんとなくでも思いつきやすいだろう、という意味で使用しています。以上、逃げ口上でした。」
読み返したけど、悠のセリフ長すぎるー。
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