◇ ◇ ◇ ◇
結局やったのさ、やってないのさ。
「やれてないわよ、アナタがイラコンやらPSOやらでPCをずっと占有していたじゃない。」
う……いや、そうだけど、別に全くする時間が無かったわけでもなかっただろ
「後の時間はジョージ・ジョースターと魔法科高校とおにあいを読むのに忙しかったのよ。あ、後ろ二つは妹モノだから、目的から大きくは逸脱していないと言っておくわ。」
そうなのか？面倒になって先延ばしにしているように聞こえるけど。
「ええ、そうなの。全ては計画通りなのよ。回り道に見えるものは、万全の態勢を持って瑞希ちゃんを受け入れるための布石だわ。」
そうか……じゃあ、準備も終わったことなんだし、いよいよ今日からという訳だね。
「ええ、いよいよ今日からは、チュアブルソフトの姉萌えゲー、『アステリズム』を始めるわ」
おい、瑞希ちゃん何処行ったよ。つーか妹はどこ行ったよ。
「ほら、先週アナタ、イラコンの参考にするためとか言ってソフマップに行ってたじゃない？その時に、前々から気になってたこのソフトが投げ売りされていたのよね。いや、あの時は当に運命を感じたわ。」
だから……質問にはまともに返答してくれって言ってるだろ……
キミ、シスコンはシスコンでも妹属性じゃなかったのか？妹をほっといて姉ゲーを始めるだなんて、キミの中で何が起きたんだよ。
「端的に言うと、攻略対象が姉ということは、主人公は弟だということなのよね」
妹萌えが高じて弟萌えに目覚めたってことか
「いえ、アナタと違ってブラコン属性は無いのだけれど、どうもゲームのコンセプトがそれっぽいっていうか……。主人公の心情にわりと焦点が当たっているみたいで、そこが気になったっていうか……。
ん、巧い言葉が出てこないわね
当たり前だけれど、妹ゲーで描写される心情は主人公の心情で、妹の心情って基本的に間接的にしか描写されないのよね。
でも、私が妹ゲーに求めているものって、誰よりも近いけれど乗り越えられない、乗り越えてはいけないと考える葛藤の心情、その描写なのよ。だから、私にとっての意味で真に妹ゲーを堪能するということは、私が妹になるということなのよね。」
えーっと、キミにとっての理想の妹ゲーは、妹になって兄か姉を攻略するゲームだってことなのか。
「そうだけれど、そうじゃないわ。あくまでも、私が欲する心理描写は被攻略対象の心理描写でなければならないのよ。」
ん……？えーっと、主人公が妹のゲームが理想なんだよね？
「いいえ、最初から最後まで妹の視点で描かれるゲームが理想だけれど、その視点は主人公であってはならないわ。あくまでも被攻略対象であることが重要なのよ。」
言ってることがおかしいよ。話の基本となる視点なのが、主人公の視点だよね？
「ええ。でも、ギャルゲーの基本目的ってヒロインに萌えることだから、主人公の葛藤や心情って、感情移入できる程度に手抜きをするじゃない？葛藤やらが映えるのって、被攻略対象なのよ。そう言う意味で、その視点は主人公であってはならないってこと。」
んーと、小説ならともかく、ギャルゲーじゃ無理だろ。
「そう思っていたのだけれど……このゲームのコンセプトが、『姉さんに恋をして、姉さんも恋をして、姉さんと恋をした』なのよね。
どう？姉に恋い焦がれる弟の視点で只管話が進んでくれそうな感じがしない？」
確かに、弟であることを除けばキミの言ってる理想のゲームに限りなく近そうだね。
「ええ。だから私はこのゲームで弟を体験した後に、また主人公の視点に回帰して瑞希ちゃんを眺めるのよ。そうすることによって内と外、二つの視点から瑞希ちゃんを完璧に観察できるはずだわ。」
話が繋がった……のか？
ところで、弟萌え属性は、結局のところ無いの？
「性別観の問題で、今のところないわね。萌えたとしても、なんていうか、それは妹と言って差し支えの無い弟だわ。」
◇ ◇ ◇ ◇
「なんだかんだ言って購入を決定した最後の一押しは攻略対象に義妹キャラが居たことなのですけれどね。勿論最初に攻略するのはその娘よ！」
長い話が台無し...
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