◇ ◇ ◇ ◇
悠「あぁ、違うわよ。いえ、違うというか、そこは誤魔化しているわよ。」
悠「つまり、萌えについて話すと言っても、私が妹萌えについて妹さんに語るなんてことはしていないわ。主に私は話を聞く役割よ。」
紬(キミが静かに話を聞いている状況なんて、想像できないんだけどな。)
悠「話の流れによっては、私の萌えについて聞かれることもあるけれど……まぁ、適当に嘘でない範囲で当たり障りなく返答していたの。今まではね。」
紬「へー。因みになんて答えてたの?」
悠「例えば
『私は判官びいきだから、メインヒロイン以外が好き』
だとか
『私の萌え観が理解できるような適当なキャラを挙げたいのだけれど、私とアナタの双方が知っている適当な作品が無いわよね』
だとか、
『あの作品は私もアナタも知っているけれど……その作品の中で好きなキャラを挙げろと言われたら、ストーリー上の扱いを抜きにしては語れないわよね。だから、キャラに対する萌えの説明には使えないわ』
とかかしら。」
紬(そんな答え方されたら、私なら絶対『キミはまじめに答える気がないんだね!?』って切れると思います。)
悠「纏めると、萌えより先に判官びいき(かませスキー)が働いてしまうから、イマイチ自分の萌え観が判らない。だから萌えるキャラを挙げるためにはかませのいない恋愛ものの作品でもあればいいのだけれど、ストーリーは直線である以上、かませのいない作品なんてない。だから説明できないってことを言ったわけなのよ。」
紬「ナンセンスなことを尤もらしく言って、煙に巻いたわけだね。」
悠「だって、『私の好きなキャラは遠野秋葉と瑞希ちゃんと雫ちゃんと……ちゃんよ。あ、今言ったのは全部義妹キャラか実妹キャラね。』なんて言える訳ないでしょうが!」
紬(バレて困るならやめればいいのに。)
悠「ところがね、煙に巻いたつもりが正攻法で来られて、ちょっと困っているのよ。」
紬「正攻法っていうと……キミが言った謎理論に則って来たってことだから、『かませのいない作品』を挙げてきたってことでいいのかな。」
悠「ええ、正確には『かませが固定されない』『ストーリーが直線ではない』『ストーリーの目的が無い(キャラクターを引き立てることがストーリーの目的)』という条件を満たしたジャンルと言ったところかしら。」
紬「『主人公と結ばれる相手が固定されていない』『ストーリーが分岐する』『キャラクターの萌えを堪能することが作品の目的』という条件を満たしたジャンル……
え?ギャルゲー?」
悠「そう、その通りよ!無理難題を言ったつもりなのに条件を満たすだなんて、あの子やっぱり天才なんじゃないかしら!?」
紬「いや、うん、その話から『同じギャルゲーをすればいいじゃん!』って結論を出すのはある意味天才かもしれないけど……それって、妹さんが言い出したの?しかもBLゲーでも乙女ゲーでもなくギャルゲーって?」
悠「ええ、そうよ。天才の天才たる所以ね。」
紬「ごめん、流石に意味が解らないよ……極端に話を盛ってはいないだろうね……。」
悠「いえ、事実よ。」
悠「あぁ、流石に何もないところからギャルゲーという発想が湧いてきた訳じゃなくて……以前にFateを貸したことがあったから、きっとそこから着想を得たのでしょうね。でも、その程度よ?私からは特に議論の誘導はしていないわ。」
紬(どこの世界に、いっしょにギャルゲーやろうぜって持ちかけてくる妹さんが居るんだよ。悠の妄想の産物なんじゃないかな。)
悠「ちなみにギャルゲーと言ったけれど、居間のTVでやるはずなんてないから使用マシンはノートPC……つまりエロゲーね。」
紬()
悠「そういうことで、目下悩みの種なのよね。何を貸せばいいかしら。」
紬「貸すんじゃねーよ、常識的に考えて。」
◇ ◇ ◇ ◇
紬「っていうか、貸したら趣味がばれるよね。」
悠「いえ、妹さんと話しているときは『エロゲーギャルゲーはほとんどしていない設定』になっているから、誰かに借りたことにするし、エロゲーマーであることはばれないと思うわよ。」
紬「それはそれでばれないに越したことはないけれど、そういうことじゃなくって。貸すものをどうやって用意するつもりさ。」
悠「どうやってって、それは、私の持っているものを借りたことにして……」
紬「キミの持っているゲームと、そのメインヒロインを(あるいはタイトルを)よく考えてみたまえよ……。完全に趣味全開じゃないか……。」
悠「……いっそのこと、妹ゲーを貸すのはどうかしら。」
紬「どういう反応が返ってくるかは、実行しなくても解るよね。」
悠「ええと、所有作品を探せば普通のだってあるはず……。」
紬「例えばカミカゼエクスプローラーなら、まぁ普通と言えるだろうけどさ。キミは
『好きなキャラは誰だった?』
って聞かれて、まなみちゃん以外の名前を答えられるのかね。」
悠「無理……だわ……」
紬「っていうか、昨今妹キャラが出てないゲームの方が珍しいんだから、どうあがいても無理だよ。諦め給え。」
[0回]
PR